四年生国語、あまんきみこさんの名作『白いぼうし』の授業デザインです。
子どもたちが物語に興味をもち、主体的に読み進めていけるように、
本実践では「問いをつくり、答えを探していく」という活動を設定しました。
初読で「問い」を生み出す
1時間目は、範読を行い、初読の感想を書きました。
その中で出てきた「不思議だと思うこと」「考えてみたいこと」をもとに、クラスで問いをつくっていきます。
例えば、今回のクラスでは次のような問いが生まれました。
- どうして松井さんは、車に夏みかんを乗せていたのか?
- どうしてぼうしの中に夏みかんを入れたのか?
- ぼうしをあけたたけおくんは、どんな気持ちだったのか?
- 女の子は、どうやって車に乗ったのか?
- なぜ女の子はいなくなったのか?
- 「よかったね」「よかったよ」は、だれの声なのか?
- 表現のふしぎなところ(色・五感・たとえ)
ファンタジー作品ならではの、不思議さに目が向いた問いが多く生まれました。
場面と表現をおさえる(2時間目)
2時間目は、読みを支える土台づくりとして、
- 場面
- 人物
- キーアイテム
- 色や表現
を全体で確認しました。
特に「表現のふしぎさ」は、個人やグループだけでは難しい部分もあるため、全体で共有する時間を大切にしました。
グループで「問いを解く」(3〜5時間目)
3時間目からは、いよいよ問いの解決に入ります。
今回は持ち上がりのクラスで、話し合える関係ができていたこともあり、4人グループでの活動に挑戦しました。
流れはシンプルです。
①全員音読 → ②グループで相談 → ③個人まとめ
全員音読
クラスで一斉に音読を行い、その時間に考えたいことを思い起こします。
グループで相談
ここはとにかく「話すこと」を大切にしました。
メモは自由ですが、
「書くことに必死にならず、考えを伝え合う時間にしよう」と伝えています。
個人まとめ
最後に10分弱、個人でノートにまとめます。
先ほどとは対照的に、ここではおしゃべりなし。
自分の考えを整理する時間です。
ノートから見える「読みの深まり」
毎時間、ノートを回収して目を通し、コメントを返しました。
- 「松井さんの人がらを考えてみよう」
- 「どこに根拠があるかな?」
- 「もう少しくわしく教えて!」
といった声かけで、次の学びにつなげていきます。
ノートを見てみると、同じグループでも、
- 読みの深さの違い
- 多様な考え方
があり、一斉授業では見えにくい一人一人の読みの力を感じることができました。
子どもたちの読み(抜粋)
実際に出てきた考えを、一部紹介します。
■ なぜ夏みかんを車に乗せていたのか
- 松井さんはやさしい人で、においをみんなに届けたいから
- 大切なものだから、近くにあると安心する
- お客さんとの会話を楽しみたいから
■ なぜぼうしの中に入れたのか
- たけおくんの大切なもの(ちょう)の代わりに、自分の大切な夏みかんを置いた
- 松井さんのやさしさが表れている行動
■ たけおくんの気持ち
- 虫が大好きだから、本当はちょうがよかった
- でも夏みかんもあって、うれしいような複雑な気持ち
■ 女の子の正体や行動
- ちょうが女の子に変わったのではないか
- 窓から入ったのではないか
- 仲間のところで降りたのではないか
■ 「よかったね」の声
- 助けてもらったちょうの気持ち
- たけおくん親子の会話をまねした声
子どもたちなりに、文章をもとにしながら想像を広げている様子が見られました。
この授業のよさ
今回の実践のよさは、次の3点です。
- 問いを自分たちでつくることで、読みが主体的になる
- 話し合いによって、考えを深め合うことができる
- 「解決できた!」という達成感を味わえる
グループでの活動にすることで、一斉授業以上に意見のやりとりが増え、満足度も高い様子でした。
「白いぼうし」は、不思議さや余韻のある作品です。
だからこそ、「問い」を大切にすることで、子どもたちの読みがぐっと深まっていくと感じました。
ぜひ、授業づくりの参考にしてみてください。
